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リアルタイム レンダリング 第2版

「リアルタイム レンダリング 第2版」を翻訳・出版しました。

この翻訳作業は2年以上前から始めていたのですが、私の仕事が遅いことと、他の書籍の作業もあってなかなか進みませんでした。やっと出せてほっとしています。リアルタイム 3D グラフィックスの書籍としては、現在ベストなものだと思います。

少し長くなりますが、私が書いた翻訳者序文を載せます。

日本のグラフィックス技術者、リアルタイム コンピュータ グラフィックスを専門とするプログラマや、それを志す学生、そして誰よりゲーム プログラマに、この日本語版を渡すことができて本当にうれしく思います。

長年コンピュータ グラフィックスの分野でバイブルと呼ばれてきたのは、1990年に米国で出版されたFoleyらのComputer Graphics, Principle and Practice, 2nd Editionでした。しかしその内容は1980年代までのソフトウェアをベースとした非リアルタイム レンダリング テクノロジの解説でした(にもかかわらず、その輝きは現在も失われていません)。2000年前後のグラフィックス ハードウェアとリアルタイム コンピュータ グラフィックス テクノロジの加速度的な進化から、リアルタイム レンダリングに特化した解説書が特にゲーム開発者から必要とされていました。Game Programming GemsShader Xのような論文集は出版されるようになっていましたが、リアルタイム レンダリング テクノロジを、その基盤となる概念やアルゴリズムから包括的に解説している書籍はありませんでした。原著第1版はその有力候補でしたが、すぐに(その名の通り、リアルタイムで)テクノロジの進化を取り込んだこの第2版が出版され、多くのプログラマや研究者たちから高い評価を受けたのでした。

現在のGPUあるいはゲーム機のアプリケーションの開発にはリアルタイム シェーダが不可欠となっています。本書にシェーダの書き方はほとんど書いてありませんが、その背後にある理論・考え方・ハードウェアの動作が詳細かつ実践的に記述されているので、必ず制作現場の役に立つと確信しています。例えば、リアルタイムで動作させるための交差テストや衝突検出についてこれほど詳細に議論している書籍は他にないでしょう。不明な点があれば、各章の「参考資料とリソース」や本書のウェブサイトhttps://www.realtimerendering.com/から調べることもできます。

もちろん本書もいずれ時代遅れになるかもしれません、しかし当分の間は、本書がリアルタイム レンダリングの出発点あるいはリファレンスとして十分有用だと信じています。残念ながらこの分野の日本語の文献・資料は少ないので、英語の文献も参照できるよう、用語についてはできるだけ英語も併記しました。同時に英語の文献からも本書を参照できるよう日本語索引に加えて英日対訳表も作成してもらいました。